カテゴリー:plus,4 森村泰昌展

森村泰昌、逢坂恵理子 対談レポート2

投稿者:naito 投稿日:2013年02月07日

 

「私たちは時代にノーと言い、それは誇りでもありました。だけど、関西から来た若手の彼らは、これからはイエス(肯定)だと言う。そのなかに森村さんがいたんです」。1987年の「イエス・アート/デラックス」について小池一子が語りました。

イエスアートの若手たちより10歳近く年上だった森村さん。「前のアートを壊しながら新しいアートをつくる60~70年代の作家も見てきた僕は、ノーでもあり、イエスでもありました」。

「子供の頃から、身体と言葉がうまくいかないという違和感を持っていた」という森村さん。「嘘っぽいなと思うとその言葉がしゃべれなくなるんです。自分の体も見つからない。運動が苦手で自信喪失、体がぎくしゃくしていた。だけど、芸術表現を借りると自分の言葉と身体が現れる、それがアートに向かった始まりです」。

「初めて写真を撮ったとき、 シャッターを押してパチッて瞬間を確保する感じが、昆虫採集に似てるなと。蝶が舞っている持続する時間を、ある瞬間止めて、ブラックボックスを通して出てきたものを標本箱に収める。このとき、私がそこにいたということが重要で、面白い写真か面白くない写真かはクリエイティヴィティとは本来関係ない」。

「個人個人が見つけ出した身体と言葉(=アート)に対し、イエスとかノーとか他人が決めることじゃない。となるとキュレトリアルなんて不可能じゃないか?と思ってしまう」。

逢坂さんは答えます。「ある種の選択はしなくてはならない。個を徹底的に突き詰めると、反転して普遍性に行き着くようなことがある。森村さんは個人的な世界と思っているかもしれないけれど、それを形にする過程は、1本の映画をつくるようなチームワークになっていますよね。その多義性が興味深く、森村さんの頭の中にあることを引き出し、キュレーターや批評家とは違うやりかたで現代美術を問い直せるのではないか。それが森村さんをアーティスティックディレクターに選んだ理由です」

これまでのヨコハマトリエンナーレは準備期間が短く、「そもそもの前提」から問うてみる余裕もなかったように思います。森村さんの過去の作品が、今の時代に対するノーでもありイエスでもある身体と言葉にも見えてきました。

(佐賀町アーカイブ 白坂ゆり)

 

 

森村泰昌、逢坂恵理子対談レポート

投稿者:naito 投稿日:2013年02月05日

1月11日(金)19時から森村泰昌さんと横浜美術館館長の逢坂恵理子さんとの対談が行われました。お二人の出会いから佐賀町エキジビット・スペースとのつながり、「ヨコハマトリエンナーレ2014」アーティスティック・ディレクターとなった森村さんから同展組織委員会委員長でもある逢坂さんへキュレーションについての問いかけなど、日本の美術の歴史を感じる話が展開されました。

 

森村さんは1987年、佐賀町エキジビット・スペースで開催した関西の若手作家によるグループ展「イエス・アート/デラックス」に参加。この時に逢坂さんは初めて森村さんの作品を観たそうです。その後別の機会に森村さんに会った印象を「佐賀町で観た過激な作品の作家がとても物静かでびっくりしました」と語られました。

 

それから森村さんより逢坂さんへふたつの話が問いかけられます。ひとつは「逢坂さんが美術に関わった原点とは?」。「古美術が好きで、高校生の時にアーティスト以外で美術に関わるには何があるかと考え、学芸員という職業を知りました」と逢坂さん。卒業後すぐに学芸員にはなれなかったが、美術出版社の『みづえ』の仕事でヨーゼフ・ボイスなどを知り、自分の知らない美術表現が新鮮でもっと知りたいと思い、今に至るそうです。

もう一つは、森村さんは「僕や宮島達男さんが参加した1988年のヴェニス・ビエンナーレ前後に日本の美術が変化し、それ以後に今につながる日本の美術がある」と自負することから、「80年代から日本の美術シーンを牽引してきたひとりである逢坂さんは、88年以前と以後をどうとらえているでしょうか?」。逢坂さんは「80年代には、花鳥風月や禅で語られてきた日本の美術に対する既成概念を打ち返すような、全く異なる分野を美術の中に取り込んで解釈し直す、今までの言葉では語れない美術が出てきました。その時、今の日本は何かと海外に提示した展覧会が『アゲインスト・ネイチャー』であり、そこから一気に日本の美術に対する関心が高まりました」と振り返りました。

森村さんが「ヨコハマトリエンナーレ2014」で今回はじめてキュレーターという立場となったこともあり、その後、話題はキュレーションのことに移りました。作家として活動してきた森村さんが「展覧会をつくることはやはり自分の作品をつくることにもなり、権力者のようになってしまうのではないか」と危惧を語ると、「展覧会はやはりキュレーターの作品になりますが、ヒエラルキーとは違う形ができると思っています」と逢坂さん。「キュレーションとは美術の存在意義を社会へ提示することだと思います。スポーツや音楽は受け入れられやすいけれど、美術が必要だと思っている人は社会で非常に少ない。けれど、時代や鑑賞者によって作品の評価や解釈は変化します。時代によって表現方法が変わることもあり、アーティストの生み出すものは、自分を超える力がある。そんなアーティストの持つ様々な優れた視点をどうやって社会に提示していくか、それが展覧会をつくるということ」。

美術の必要性について語られる機会は少なくないのですが、納得のいく言葉で教えてくださいました。森村さんのつくる展覧会がますます楽しみです。森村さんのアーティストとしての視点が表れた作品は、佐賀町アーカイブで2月11日までご覧いただけます。 

(ボランティアスタッフ 小澤恭子)

撮影:木奥惠三

ユーストリームの佐賀町アーカイブチャンネルで録画がご覧になれます。

佐賀町アーカイブ 森村泰昌×逢坂恵理子 対談

 

 

1月11日(金)「対談 森村泰昌×逢坂恵理子」ユーストリーム中継あり

投稿者:naito 投稿日:2013年01月11日

新年おめでとうございます。今年もよろしくお願いいたします。

本日1月11日(金)19:00~20:30、3331アーツ千代田1階のコミュニティスペースにて、横浜美術館館長の逢坂恵理子さんをお迎えして森村泰昌さんとの対談を行います。

すでに定員に達し、予約を締め切っておりますが、当日券はキャンセルなどによる空席状況に応じて受付をいたします。お問い合わせ(info@sagacho.jp)または受付でお尋ねください。

また、急遽、ユーストリームでライブ中継も行うことになりました。お越しになれない方は、sagachoarchives のチャンネルでお楽しみください。

http://www.ustream.tv/channel/sagachoarchives

森村泰昌さんが「ヨコハマトリエンナーレ2014」のアーティスティック・ディレクターに就任されました。

投稿者:sagacho archives 投稿日:2012年12月25日

右から、逢坂恵理子さん、森村泰昌さん、帆足亜紀さん(横浜トリエンナーレ組織委員会事務局長)


早速、2012年12月18日に横浜美術館で行われた、第一回記者会見に行ってまいりました。

横浜トリエンナーレ組織委員会委員長を務める横浜美術館館長の逢坂恵理子さんは、「2011年以降、日本人の意識が大きく変わったといわれるなか、アーティストの柔軟な発想と視点こそが私たちの生き方や考え方を捉え直すヒントとなり、指針となるのではないかという期待を込めて、森村さんにお願いしました」と語りました。

美術家である森村さんは「国際展のアーティスティック・ディレクターを務めることは初めて」としながらも、「初心者だからこそ冒険ができるのではないか」と、これから舵を取る未知の旅に向けて、“船長”として決意を表明されていました。「トレンドを切り取るのではなく、美術にとって、人間にとって、社会にとって、文化にとって、今、何が大切なのかを提案したい。そのためには、自由な表現の場を確保しながら、そこに『芸術の良心』があるかを軸に、信念をもって臨みたいと思います。開催まで約2年の長旅となりますが、好奇心と愛情をもって、じっくりと見守ってください」

 これまでにも、数々の作品を通して私たちに疑問を投げかけ、新たな視点を発見させてくれた森村さん。どのようなトリエンナーレになるのか今から楽しみです。

新年1月11日には、記者会見後初の森村泰昌さん、逢坂恵理子さんのトークがありますので、ぜひご注目ください。
まだお席に余裕があります。お申し込みはこちら

(佐賀町アーカイブ 内藤) 

妖しく光る……

投稿者:sagacho archives 投稿日:2012年11月01日

「アーカイブ、それから」森村泰昌展の作品設置を、森村さんもいらして10月31日に終えました。佐賀町エキジビット・スペースbisで展示された《踏み絵》が、22年の時を経て再びインスタレーションされました。

1990年の森村さんの個展「美術史の娘」は、食糧ビル3階の巨大な佐賀町エキジビット・スペースと、2階の佐賀町エキジビット・スペースbisで行われました。(bisは、後に、現シュウゴアーツの前身「佐谷周吾美術室」や小山登美夫ギャラリーになった空間)。当時もピンクの光に照らされていました。

ガラス越しにこの《踏み絵》を見た後は、ぜひ奥の部屋もご覧ください。ギョッと驚くような展示が待ち受けています。

11月3日(土)の開廊をお楽しみに。オープニングイベントはありませんが、1月11日(金)に、横浜美術館館長・逢坂恵理子さんと森村さんとの対談が行われますので(11月3日に受付開始)、こちらもご注目ください。